『BANANA FISH(バナナフィッシュ)』のレビュー

概要

『BANANA FISH』とは、アメリカを舞台に繰り広げられる、麻薬と犯罪を扱った緊迫感溢れるアニメ作品である。本作は、作者の吉田秋生さんが1980年代に発表した同名の漫画を原作として、2018年にアニメ化された。

物語の主人公は、NYで暴力団のボス・ダイナムの養子として生きる少年・アッシュ。麻薬“バナナフィッシュ”に関する、ある秘密を知る彼は、権力者達から狙われることになる。そんな中、アッシュはジャーナリスト志望の青年エイドリアンと出会い、彼を相棒に事件に立ち向かいながら、自分の過去と向き合っていく。

まずは、物語の構成が非常にしっかりとしていることが魅力の1つだろう。人物たちのバックストーリーや心理描写が丁寧に描かれており、その結果、彼らが抱える葛藤や苦悩、そして愛情がリアルかつ感情移入できるようになっている。

また、その緻密な構成と相まって、物語は常に緊迫感に溢れている。アクションシーンも多く、一度観始めたらクセになる作品だ。

さらに、美しく洗練されたビジュアルも魅力の一つである。NYの街並みやキャラクター達のディテールがリアルに描かれており、見ているだけでも楽しめる。

全13話の本作は、原作漫画の第一部をアニメ化したものであるが、コンパクトにまとめられているため、逆に濃密なストーリーが展開されていると感じられた。それに加えて、豪華声優陣の演技も見逃せない。

総じて、『BANANA FISH』は、心理描写やストーリー構成、アクションやビジュアルなど、様々な要素が合わさった、傑作といえる作品である。一度観たら病みつきになること間違いなしである。