『言の葉の庭』レビュー

あらすじ

雨の日の朝、学校に行く前に落ち込む主人公・手塚透は、庭に集う優雅な女性・雨宮聖夜に出会う。手塚透は彼女との出会いがきっかけで次第に聖夜と話をするようになり、少しずつ自分の心を打ち明ける。そして、手塚透にはある秘密があり、それを聖夜が知っていることが明らかになる。

感想

本作は、日常の風景や季節感を美しく描写し、静謐な雰囲気が漂っている。特に、長い雨上がりの湿度や匂いなど、五感で感じられる要素が丁寧に描かれていると感じた。また、雨宮聖夜と手塚透という二人の登場人物のやりとりの中に、深い感情の移り変わりや重要な言葉が隠されている。彼らの心の葛藤が、繊細に描かれており、物語に引き込まれた。

音楽にも注目したい。主題歌「Rain」は、雨というテーマにピッタリの落ち着いた曲で、心に染み入る。また、劇中の音楽も心地良く、映像と絶妙に合わせられている。

最後に、本作は「言葉」というテーマが象徴的に描かれている。手塚透は、自分の心情を言葉に変えることができず、それが片思いに悩む原因になっている。しかし、聖夜は彼女自身が拠り所になる言葉を手塚透にくれ、彼が心を開くきっかけを与える。言葉の力という、普段は当たり前すぎて見過ごされがちなものを再認識させられた。

まとめ

美しい映像や音楽、緻密な演出が魅力の『言の葉の庭』。人と人との繋がりや言葉の重要性について再考させられる良作だ。ぜひ、一度観てみて欲しい。